大判例

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名古屋高等裁判所 昭和26年(う)340号 判決

弁護人の控訴趣意第一点の要旨は、原判決は、判決に影響すること明らかな訴訟手続違反がある。原判決は、司法警察員作成の検証調書一通と実況見分書一通を証拠としているが、右検証調書を見るにその作成年月日は、昭和二十五年十二月十七日と記載されているのに検証の日時欄には、昭和二十五年十二月十八日午後一時五十分より同日午後三時までと記載されていて、検証実施の前日に既に検証調書が作成されていたことになる。更に前記検証調書及び実況見分書には、多数の写真が添付されているのに、原審はこれが証拠調を為すに当り朗読を為したのみで、展示していない。而も右写真は、本件被害状況を写したもので、これが証拠調を完全に為すことなく証拠としたのは採証上重要な訴訟手続違反があると謂うにある。

よつて本件検証調書を調べて見るに、検証を為したのは、昭和二十五年十二月十八日午後一時五十分から同日午後三時までであるが、検証調書の作成日時は、昭和二十五年十二月十七日となつていることは所論の通りである。然れども、検証を為す前に検証調書を作成したことは想像できないことであるし、検証調書添附の写真撮影月日は、同年十二月十八日と記載してあることから見れば、検証調書の作成月日は、誤記と認めるのが相当である。而して公務員又は公務所の作成した文書には、作成年月日を記載すべきことになつているが、これが脱落するか又は誤記があつても、他の記載要件が具備していれば、証拠とするに違法はなく、本件検証調書は、右の作成年月日の記載だけが不当であるだけで、他の記載要件並に作成要式に不法不当な点がないので原審が被告人の同意を得て右検証調書を証拠としたのは正当で、この点について違法はない。次に検証調書又は実況見分書に写真を添附したときは、これが証拠調を為すには、朗読と共に展示するのが相当であるが、本件においては、検証調書及び実況見分書に写真が添附されているが、これが証拠調を為すに当り、朗読のみなして、展示をしなかつたことは認め難く、仮りに展示を怠つていたとしても、当事者は右証拠調に異議を唱えなかつたから、これが不服を申し立てることはできないものである。論旨は、何れも理由がない。

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